当時、私は2歳の娘を抱えて離婚したばかりでした。離婚した当初は、意気揚々となんでもかんでもやる気満々でしたが、娘が冬に病気になって、夜間救急病院へ行ったり、入院したりという日々が続くと、私は内心、離婚してしまったことに後悔を覚えていました。それは、彼が恋しいからや、彼をまだ愛しているということではなく、ただ独りで子育てすることがこんなにつらくて大変なことであり、こんな日々がずっと続くのかと思うと憂鬱で仕方なかったからでした。

私は離婚後、実家の両親の経済的支援により、進学し、研究をしていました。幼い子を抱えながらの勉学は困難極まりない日々でした。そんなとき、私の目の前に、眼光鋭い大変気品のある紳士が現れました。それは私の先生でした。私は29で離婚していましたので、その先生もあまり年が離れていなくて、3歳年上でした。

私は彼の学識の高さと気品あふれる姿に惚れ込んでしまいました。そういう彼に対する思いを隠して1年が過ぎ、私は卒業しました。卒業後はなんとか仕事に就くことができましたが、離婚後のショックによる躁鬱状態が勃発し、仕事も上手くいきませんでした。悶々とした日々がまた1年ほど過ぎました。その先生は、私が電話連絡すると、大変私のことを心配してくれていて、「また寿司でも食べに行こう。」と誘ってくださっていました。

ようやく私も再就職でき、落ち着いたある夏の日、その先生と会うことになり、私が運転する車に乗ってお寿司を食べに行きました。彼は、「最近景色が良く見えるマンションに引っ越したので、君も遊びにおいでよ。」と言ってくれました。内心私は有頂天でした。本当にそんなことしていいのか?と。

私は彼に、「娘も連れて行ってお盆前の花火を先生のマンションから見たいけど、いいですか?」とたずねました。すると、彼は1つ返事で、「きたらいいよ、でも君から連絡くれるかな?君から電話して欲しい。」と言いました。

私はおかしいな?と思いました。そして偶然雑誌で見つけた電話占いに相談をして、彼に対してどのように接すればいいのか占ってもらいました。占い師さんは霊感占いの方でした。占ってもらう前はかなりの大金をかけて、電話だけで占えるのか?その信憑性はいかに?などと思っていました。

しかし、その電話占いの先生は、「その彼は、あなたのことをたくさんの物件の中の1つの良い物件だと思っています。あなたのことだけを思っているのではありません。多くの中のひとつと思っているので注意してください。もし、彼から電話があったり、連絡があったら、脈がありますが、そうでない場合はあなたから連絡をするのは止めておいた方がよいでしょう。」と占ってくださいました。

私ははっきりいって、直感的にあたっていると感じました。私は、占いのあと1ヶ月ほど彼に連絡をせず、結局電話ではなく、軽い内容の手紙を送ってみました。しかし、結局お返事はありませんでした。その時、私は「ああ、あの先生の占いは本当に当たっていた。自分から自分を安売りしそうになっていたけど、しなくて本当に助かった。危ない道を選ぶ前に占いをしてもらって本当に良かった。」と心底思いました。

それから、その先生から二度と連絡はありませんでした。私は非常にすっきりし、清々しい気持ちで次の相手を見つけようと決心しました。いくらこちらが思っていても、相手が私のことを大勢のうちの一人としか思っていないのだったら、結婚という2文字は将来的にでてこないだろうし、こちらがのぞんでいても、いろいろ理由をつけて断ってきていたことだろうと思いました。私はその後、すぐに別の人を見つけました。

この人は外国人で、宗教はイスラム教の人でした。この人もまた学識深い人で、私のことも娘のことも大変大事にしてくれましたが、やはり宗教の違いは私を苦しめました。

私はまた電話占いに頼りました。そして詳しく先生に説明すると、占いの先生はこうおっしゃいました。「あなたとその外国人の方は前世では夫婦でした。前世で、彼はあなたにあまり優しくしてあげられなかったので、現世であなたに優しくしてくれているのです。」と言われました。全くその通りでした。

彼は私の頼んだことはなんでも聞いてくれて、いろいろなことをしてくれました。そのうえ、どんなに私がわがままを言っても笑って許してくれました。一度こんなことを聞かれました。「もし僕が死んでしまったら君はどうする?」と。すかさず私は答えました。「あなたが亡くなる前にこんなに大きなダイアモンドを買ってもらうわ。

そしてどうぞ遺言をのこしてちょうだい。これは私にあげると」と、言いました。日本人男性なら真っ青な顔になって不届き者と怒るでしょうが、彼は違っていました。少し微笑みながら「全く、きみらしいよ。わかったもしそんなことがあるとしたら、そうするよ。」と。

この時私は本当に占いの先生のおっしゃってくださったことが真実であると確信しました。しかし、彼の研究期間終了とともに、日本を去ることになり私たちはお別れしました。

しかし、最後まで私のためにラマダーンの祈りをしてくれた彼のことは今でも忘れられません。占いの先生がいってくださった、前世は夫婦であったという言葉が今でも耳に焼き付いて離れません。私は占いによって人生の岐路を正しく選択できたと心から思っています。